いまではすっかり当たり前になってしまったUSB。細いケーブル1本でパソコンと接続することができ、USBハブを使えば、多くの機器を1台のパソコンに接続することもできる。周辺機器を利用する際に、もはやUSBなしの状況は考えられないほどだ。しかし、このUSBにも欠点はある。ひとつは、最大5mというUSBのケーブル長の制限。そしてもうひとつが、複数のパソコンからひとつの機器を共用できないという点だ。
最長5mという制限は、USBハブを使ってケーブルを延長していくことで、多少は改善できる。しかし、数百メートルも離れた機器同士を接続できるEthernetには到底かなわないし、延長のためだけにハブを使うのは無駄だ。さらに、共用できないという点はどうしようもない。そもそもUSB機器は、2台以上のホストから1台のデバイスを使うようには考えられていない(一部にはそうした機器もあるが)。USB切り換え機を使うという手もあるとはいえ、やはりこれもUSBの欠点といってよいだろう。
「SX-1000U」は、この二つの欠点を同時に解決してくれる。TCP/IPで通信さえできれば、どれだけ離れていようと、USBデバイスを利用できる。必要ならば無線LANを使って、ワイヤレスで離れた場所にあるUSBデバイスを使うことも可能だ。共用についても、同時に2台のパソコンから「接続」することはできないとはいえ、ケーブルをつなぎ変えたり、切り換え機を使わなくてもデバイスを共用できるのは便利というほかはない。
ここまで便利な使い勝手を実現したのは、やはり「SX-1000U」のソフトウェアの出来のよさによるところが大きい。接続した先のデバイスは、パソコンから見るとそのままUSBに接続されているように“見える”ため、普段のソフトをそのまま使うことができる。唯一不満な点を挙げるとするならば、USB 2.0 Hi Speedに対応しない点くらいか。このため、高速な転送を必要とする機器、例えばハードディスクやDVD-Rドライブ、一部のイメージスキャナなどでは、速度面では不利となる。しかし、そうした不満点を補ってあまりあるくらい、利便性は高い。
複数のパソコンを利用する環境では、ぜひとも使いたい機器だ。
(天野 司)